企業が健康経営に取り組むメリット

人材採用や人材の確保、業績向上など経済産業省や厚生労働省などの公的機関や研究機関が公開している情報から、企業が健康経営に取り組むメリットを整理しました。

健康経営は人材採用に効果がある。

就職先に望む勤務条件について、「従業員の健康や働き方への配慮」は就活生と親の両方で特に高い回答。

就活生及び親に対して実施した就職先に望む勤務条件についてのアンケート調査(経済産業省)

日経新聞社「働き方に関するアンケート」2023年9月

令和4年6月よりハローワーク求人票の中で健康経営優良法人ロゴマークが利用可能になりました。

ある健康経営銘柄企業では、健康経営により学生の認知度が向上し、就活生が大幅に増加し、内定後辞
 退率が減った。優秀な人材の確保につながったとのことです。

健康経営の推進について(経済産業省)より引用

健康経営は社員の定着に効果がある

健康経営の推進について 令和6年3月版 (経済産業省)

ワーク・エンゲイジメントが高まると新入社員の定着率が上がる

厚生労働省(2019) 令和元年度版 労働経済の分析

ワーク・エンゲイジメントが高まると労働生産性(時間当たりの成果)が高まる

厚生労働省(2019) 令和元年版 労働経済の分析

ワーク・エンゲイジメントが高い従業員は、心身の健康度が高く、仕事に満足し、組織に愛着を感じや
 すく、仕事を辞めにくく、業務生産性が高い。

従業員の健康状態が改善する。企業ブランドイメージが向上する。
従業員の生活習慣の改善と健康へのリテラシーが向上する。
組織が活性化する。

健康経営の推進について 令和6年3月版 (経済産業省)

【グラフより】
80%以上の企業が「従業員の健康状態の改善」と回答。
・70%以上の企業が「企業ブランドイメージ向上」と回答。
・60%以上の企業が「生活習慣・健康リテラシーの改善向上」「組織の活性化」と回答。
・半数の企業が「従業員のモチベーション・エンゲイジメント」「従業員間のコミュニケーションの改善・
 促進」と回答。
・半数近くの企業が「人材の採用」「過重労働の抑制・防止ワークライフバランスの促進」と回答。
・「企業業績の向上」「離職の防止」は3割程度、「顧客満足度」は2割程度。
【考察】
・健康経営をしたが、従業員のワーク・エンゲイジメントの向上まで至った企業は半数です。
 ※4/4コラム「健康経営とは」参照
「顧客満足度向上」「企業業績向上」「離職の防止」はワーク・エンゲイジメントと深く関連しています。
・エンゲイジメントを向上させるマネジメントや労働環境を整えた企業は、業績の向上、顧客満足度の向
 上、離職率の低下といった効果を実感するでしょう。

睡眠と業績の関係

 ・睡眠時間が長く、睡眠の質が良い企業ほど、業績(利益率)が高い。
 ・残業時間と通勤時間が長いと、睡眠時間が短くなり、睡眠の質も下がる。
 ・有給休暇取得日数が多い人は、睡眠時間が長くなる。
 ・女性社員比率が高い企業ほど、睡眠時間が長くなる。
 ・在宅勤務は、睡眠時間が長くなり、睡眠の質も良くなる。
 ・仕事の目的・役割が明確であると、睡眠時間が長くなり、睡眠の質も良くなる。

【考察】
従業員の睡眠の時間や質を改善する働き方(適正な労働時間、両立支援などダイバーシティ経営)、「仕事の目的や役割を明確にする」など良質な人材マネジメントを進めることで、睡眠を通じた従業員のウェルビーイングが向上し、それにより企業業績も高まるという相乗効果が生じます。

日経スマートワーク経営研究会報告 2022 -ポストコロナ時代を見据えた人材活用・活性化戦略とは―