働き方改革に有効な施策をご紹介

昔は長時間労働の職場でしたが、働き方改革に対して、単に法律を守るためでなく、働きやすい環境づくり・業務パフォーマンスを上げやすい職場づくりの一環として経営トップも現場社員も理解して取り組んだ事例です。

長時間労働の改善

「睡眠時間が長く、睡眠の質が良いと従業員の健康に好影響であり、業績(利益率)が向上する傾向にある」(4/15コラム参照)、「時間外労働の長さが職場のストレスと密接に関係する」ことから、長時間労働を減らす取組は優先度が高いと言えます。
しかし、単に労働時間を縮減するだけでは、成果や収入が減ってしまいます。時間当たり生産性向上(効率性向上)につながる取組を行い、長時間労働を改善しつつ成果を出せるようにすることが必要です。

長時間労働の改善は、育児・介護や病気との両立支援のベースにもなります。

働き方改革に有効な施策

JILPT*¹の働き方改革に関する調査によれば、働き方改革には有効な施策とマイナスの影響が出る施策があります。
有効な施策は、「ペーパーワークを減らす(社内資料のパワポを無くす、印鑑文化を無くす、書式を簡単にするなど)」「会議を見直す」「進捗管理やメンバー間の情報共有」です。
マイナスの影響が出る施策は、「一斉ノー残業デー」「強制消灯」「長時間労働の者に注意を促す」「声をかけて退勤を促す」です。

有効な施策のまとめ
 ◆本来業務の時間を増やす
  仕事の範囲を明確にするペーパーワークを無くす会議を見直す業務を無くす・簡単にする
  対価のない過剰品質をやめるまかせるDXなど。
 ◆属人化、負担の偏りを無くす
  業務分担の見直し整員数の見直しチーム制での担当情報共有の促進職場メンバー全員のレ
  ベルアップを図るなど。
 ◆風土・意識
 ・長時間労働や長く会社に残っていること自体を評価しない。(がんばって仕事を終わらせた人が帰り
  づらいことがないように)
 ・仕事が終わるまでいくらでも時間をかける⇒かけられる時間の上限が決まっている働き方へ意識と
  仕事の段取りを変える。

働き方改革に成功する企業

長時間労働が常態化している職場は、緊張感があり余裕がありません。そのような職場では、イノベーションを生み出すことは難しいでしょう。「うまくいかない可能性もあるが、とりあえず試してみる」という気持ちの余裕が持てません。まずは職場に時間的・精神的な余裕を確保することが必要です。

JILPTによれば、働き方改革に成功している企業は、全社的に問題意識を共有し、全社的に取り組んでいます。経営トップが現場に行き、長時間労働について意見を聞き、一緒に問題を考えます。その際、職位の低い人から意見を聞くなど工夫もしています。このことで「働きやすい職場づくりに取り組みたい」というトップの意思が現場社員に伝わっています。このトップによる機運づくりは従業員のやる気に大いに関わってきます。まず管理職や人事部がやることとしては、意見が言いやすい職場づくりでしょう。

働き方改革に成功した企業は、健康的な働きやすさ=社員のウェルビーイングがPR材料となり、人材採用において非常に人気となり、社員の定着にもつながっています。


*¹ 独立行政法人労働政策研究・研修機構